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2021-04-08

土田善太郎さんインタビュー

ただいま、colléで絶賛開催中の七宝焼個展。

夢色の七宝に魅せられて 土田善太郎作家生活55年展
4/6(火)〜12(月)10:00〜19:00
※初日は13時から最終日は18時まで
※入場無料

七宝焼の概念を覆す斬新な作品群を、次々と生み出す、御年81歳の巨匠。
その人間像は自由な創造性を何より大切にする、アーティストそのものでした。

colléのフリーペーパー「collé Do?」にも掲載した、土田先生のインタビュー記事をこちらにも再掲します。
ぜひお読みください。

自由な表現にこだわり続ける81歳のアーティスト
七宝焼作家:土田善太郎さん インタビュー

夙川在住の七宝焼作家・土田善太郎さん。80歳を超えてなお、現役の作家であるだけでなく、SNSのライブ中継で工房の様子を発信するなど、新しいことにも積極的に取り組まれています。
七宝焼と聞くと「伝統工芸」や「徒弟制度」というイメージが強いですが、土田さんの経歴は、そんな先入観を覆す、意外なものでした。

きっかけは教室通い⁈

CD:この道に進むことになったきっかけをお教えください。
土田:1964年に大学を卒業してサラリーマンになってね。会社の近くに七宝焼の教室があって、そこに通い始めたのがきっかけ。
当時は七宝焼がブームで、そこら中に教室があってね。特に女性には人気の習い事だったんだよ。
それで、やり始めたら性に合ってた。しばらく習ってたら、いろいろ作品ができるでしょ?それを周りに売ってたら、月給ぐらい稼げてしまった。
サラリーマンも合わないなぁと思っていたし、元々モノづくりは好きだったから、こっち一本でやっていくか、と独立したんだ。

早いのが良い

CD:今、サラリと仰いましたが、教室で数カ月学んだだけで、月給分も売れるなんて、凄いですよね。七宝のどこが性に合ったんでしょう?
土田:とにかく結果が早いのが良い。例えばガラス作品だと、冷ますのに1日かかるけど、七宝は焼く時間が長くて2分。冷やすのも5分あれば充分。それで出来が悪かったら、また釉薬塗り直して、焼き直すこともできる。せっかちな僕にはピッタリだったんだね。あと、場所もそんなに要らない。机と電気炉、釉薬置く場所があったらできるから、気楽なんだよ。
CD:七宝焼のイメージが、どんどん変わってしまいます(笑)。
でも、結果的に生涯の仕事となった。秘訣はなんですか?

無理難題に応える

土田:時代としては、七宝は衰退していた。戦後、大量生産品としての七宝焼は樹脂にとって代わられて、歴史のある工房もどんどん潰れていた。昔と同じでは、食べていけないようになったんだね。
だから、若いときは問屋やメーカーさんから注文があったら、どんな無理難題でもなんとか応えようと、いろいろ試行錯誤した。それで鍛えられたなぁ。
例えばアクセサリーとか、毎回新しいデザインを自分でつくらなければならない。通り一遍のことでは、飽きられるから、斜めに釉薬入れてみようとか、焼いてから叩いてみようとか、いろいろ頭をひねる。
そうやって、工夫と発見を積み重ねてきた。それが自分の作品づくりを豊かにしてくれたし、そういう自由さが、自分には合ってたんだね。

自由に、もっと自由に

CD:今に続く自分のスタイルを、磨き上げたということですね。
土田:既成概念に囚われず、新しいことを模索するっていうのは、今でもずっとそうだね。
僕はね、技術を極める職人にはなれないし、目指してもない。画家がキャンバスに油絵を描くように、銅板に釉薬を塗って焼く、そういう作家なんだね。自由と創造性が何より大切なんだ。
僕も80歳超えたし、もうとにかく、売れなくてもいいから、自由につくっていきたい。それもたくさん。それが今の目標だね。

略歴
1939:福井県に生まれる
1964:福井大学(工学部)卒業
1966:七宝を始める
1967:工房UncleZ主宰。七宝焼作家として独自の世界を展開。
国際七宝展出展 優秀賞入賞など受賞多数。
東京・大阪・神戸などを中心に個展も多数開催。